リコー 小粒径で均一なリキッドマーブルを製造する方法を開発
2020年12月04日
 リコー(山下良則社長)は、小粒径で均一なリキッドマーブルを製造する方法を開発した。リキッドマーブルとは液滴を粉末でコーティングしてカプセル化したもので、液体をパウダー状にして扱いやすくすることができる。今回リコーが開発したリキッドマーブルの新製法は、トナー開発で培った技術を応用して開発した被膜効果の高い粉末(リキッドマーブル用外添粒子)とインクジェット技術を組み合わせたもので、数十㎛の小粒径のリキッドマーブルを均一かつ大量に製造することが可能になる。これは、接着剤や化粧品など、さまざまな液体のリキッドマーブル化に応用可能。
 さらに、リコーはリキッドマーブルのバイオ生産への応用を目指し、微生物を培養液と一緒に生きたままリキッドマーブル化した微生物リキッドマーブルを作製した。微生物リキッドマーブルは多数の隙間が空いた殻を持つため、隙間を介してさまざまな物質を共有・抽出できます。この微生物リキッドマーブルは形状を保ったまま培養・発酵等を行うことができ、酵母菌でエタノールを、酢酸菌で酢酸を製造することに成功した。
 同リキッドマーブル製造方法と微生物リキッドマーブルを、12 月9 日から11 日まで開催される「nanotech 2021 第20 回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」のオンライン展示と、東京ビッグサイトの展示会場「ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)」ブースにて展示する。
 リキッドマーブルは、粘度の高い液体を液滴として吐出し、それを粉末でコーティングするという工程で生成されるが、手動で行う方法が一般的だった。リコーの製造プロセスでは、産業用インクジェットヘッドから均一な液滴を大量に吐出し、独自のリキッドマーブル用外添粒子でコーティングすることでリキッドマーブルを効率的に製造します。この方法では、さまざまな液体のリキッドマーブル化が可能。

 菌類など微生物の働きを用いて有価物を製造するバイオ生産プロセスは、常温・常圧で生産でき、化石由来原料の利用を抑えられるという利点があるため、多くの研究が進められている。一方、バイオ生産プロセスで大量培養を行う際には、培養液の粘度が高いため、微生物へ原料や空気を与えるために精密な攪拌や消泡の管理が必要になり、有価物の抽出などにも技術的な課題がある。リコーの製造した微生物リキッドマーブルは、球体状のため反応表面面積が大きく、攪拌等やバブリングが不要になる。微生物リキッドマーブルの殻の隙間から効率的に原材料や気体が入り、内部で微生物が反応・増殖を繰り返すことで隙間から生成物が出てくるため、大量生産におけるプロセスの管理を容易にすることができると考えている。

 リコーは同技術の開発を進めることでバイオ生産プロセスの困りごとを解決し、脱炭素社会の実現に貢献するスマートセルインダストリー(生物による物質生産)の発展に役立つことを目指す。


微生物リキッドマーブルのサンプル


内部構造