CCGA現代グラフィックアートセンター「ことばと版画」9月12日から開催
2020年09月07日
 CCGA現代グラフィックアートセンター(福島県須賀川市)では9月12日から12月20日まで、「ことばと版画:タイラーグラフィックス・アーカイブコレクション展Vol.33」を開催する。

 もっとも古い時代の印刷物が仏教の経文と図像を木版であらわしたものであるという事実が示すとおり、版画はもともと文字や言葉とともにある存在として誕生し、以来、長きにわたってそれらと深い関わりをもってきた。技法や版種が発展しながらも、おもに書物の挿絵という目的で作られてきた版画は、美術表現であると同時に、言葉とお互い補完しあいながら宗教の教義や物語を伝えるための情報メディアでもあった。
 近代以降、情報伝達の役割から解放されて独立した美術表現としての性格を強めた版画は、文字や言葉との関係が希薄になったようにも思える。とくに複雑な技法を用いて巨大なイメージが画面に展開する作品も制作されるようになった現代の版画は、かつての挿絵版画とはかけ離れたものにも見えるだろう。しかしながら、詩画集や挿画本といった形式の表現は独特の魅力をもつものとして今日でもさまざまな作家によって生み出されており、言葉と版画の関係はそれらの中に生き続けている。
 いっぽう20世紀以降の美術全般では、新たな視点による文字や言葉との関係性が見られるようになる。たとえば1910年代のダダイズムや、これに影響を受けた第二次大戦後のポップアートやコンセプチュアル・アートなどでは、文字そのものをイメージ要素としてとらえる、あるいはイメージと言語の関係を問い直すといった動機から、作品の中に文字や言葉がしばしば積極的に導入された。版画においてもこうした試みの作品が作り出されるようになり、詩画集などとはまた違った形での言葉との関わりが見てとれる。
 同展ではCCGA所蔵のタイラーグラフィックス・アーカイブコレクションから、ヘレン・フランケンサーラーやロバート・マザウェルらによる版画集や詩画集、あるいはロイ・リキテンスタインの文字が画面に描き込まれた作品などを紹介し、言葉と版画の関係について考える。この展覧会が多くのかたにとって、版画の魅力の新たな一断面をご覧いただく機会となれば幸いだ。