大日本印刷 5ナノメートルプロセス相当のフォトマスク製造プロセスを開発
2020年07月10日
 大日本印刷(DNP,北島義斉社長)は、マルチ電子ビームを使うマスク描画装置を利用し、現在の半導体製造の最先端プロセスであるEUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)リソグラフィに対応する、5ナノメートル(nm:10-9m)プロセス相当のフォトマスク製造プロセスを開発した。

【5nmの最先端半導体用フォトマスク製造技術の特長】
〇現在の半導体製造では、フォトリソグラフィ技術によって十数nmの回路パターンをシリコンウェハに形成している。しかし、フォトリソグラフィ用の光源に、波長が193nmのArF(フッ化アルゴン)等のエキシマレーザーを使用しているため、解像度に限界があった。この課題に対し、EUVリソグラフィでは、波長が13.5nmのEUVを光源とすることで、数nmの回路パターンの形成が可能になる。このEUVリソグラフィ技術は、一部の半導体メーカーで、5~7nmプロセスのマイクロプロセッサーや最先端メモリデバイス等での実用化が始まっており、今後は最先端プロセスを手掛ける多くの半導体メーカーで利用が拡大すると見込まれている。
〇DNPは2016年に、フォトマスク専業メーカーとして世界で初めてマルチ電子ビームマスク描画装置を導入し、次世代半導体用フォトマスクの描画時間を大幅に短縮するなど、高い生産性と品質で半導体メーカーの要望に応えてきた。
〇今回DNPは、マルチ電子ビームマスク描画装置の特性を活かした新たな感光材料を含むプロセスを独自設計して、EUVマスクの微細構造に合わせて加工条件を最適化することで、フォトマスク専業メーカーとしては初めて5nmプロセスに相当する高精度なEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスを開発した。
〇マルチ電子ビームマスク描画装置は、26万本の電子ビームを照射することで、高精度なパターニングに必要となる高解像レジストの使用が可能となり、曲線を含む複雑なパターン形状に対しても描画時間を大幅に短縮できる。また、同装置のリニアステージ(部材を直線的に移動させる土台)は動作安定性が高く、描画精度の向上を実現した。


EUVリソグラフィ向け5nmプロセスに相当する高精度なフォトマスク


パターン拡大写真

【今後の展開】
 今後DNPは、国内外の半導体メーカーのほか、半導体開発コンソーシアム、製造装置メーカー、材料メーカー等へEUVリソグラフィ向けフォトマスクを提供するとともに、EUVリソグラフィの周辺技術開発を支援し、2023年には年間60億円の売上げを目指す。
 また、ベルギーに本部を置く半導体の国際研究機関IMEC(Interuniversity Microelectronics Centre)をはじめとしたパートナーとの共同開発を通じて、3nm以降のより微細なプロセス開発を進めていく。
DNPは印刷技術と情報処理の強みを活かし、Society5.0が目指す高度な情報社会を支えるさまざまなソリューションを提供する。なかでも、高度な情報社会に不可欠な高性能な半導体を実現するため、印刷プロセスを応用・発展させた「微細加工技術」を活用し、今後さらに需要が高まる微細な半導体用フォトマスクの供給体制も強化していく。