全グラ 緊急アンケート実施、巣ごもり消費需要で軟包装材の仕事は増加
2020年05月15日
 新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言は、三密を回避するための、全国規模での在宅勤務を中心とするテレワークの推奨、文教施設を始めとする広範囲な社会活動の停止、国民各層への不要不急の外出の自粛を強いることとなった。その影響は、TVや新聞、あるいはインターネット等で連日取り上げられたように、巣ごもり消費を喚起し、通常をしのぐ食品や日用品の消費を押し上げることとなった。特に、帰省や旅行等を自粛したGWが到来する直前までの買いだめはすさまじく、新型コロナウイルス感染のリスクと向き合いながら、休みなく消費者への対応を続けるスーパーやコンビニ店員の姿には、その仕事の大変さを改めて気づかされたという方も多かったのではないだろうか。
 全国グラビア協同組合連合会(全グラ、田口 薫会長)の組合員も、こうした方々とともに、巣ごもり消費を支えるべく、感染リスクと予防対峙しながら、工場を稼働させ、物流の方々とともに協力し合い、食品や飲料、マスクや消毒液等の流通・店頭販売に不可欠な軟包装資材(プラスチックフィルムをベースとする包装材料)の供給に努め、少しでも店頭での欠品を防ぐべく懸命な努力を今も続けている。
 4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発令された直後、全グラの組合員はどのような状況にあり、どのような悩みを抱えていたのか。それを把握すべく全グラは、4月10日に、全国8単組(関東2単組、北海道、埼玉、北陸、東海、関西、九州)の組合員を対象に、緊急アンケート『新型コロナウイルス感染拡大による影響調査』を実施した。アンケート調査は、組合員数164社のうち、電子メールの送受信が可能な150社を対象とし、質問票を送信し、4月20日を締切日とした。緊急事態措置への対応に追われる大変多忙な時期にもかかわらず88社から回答を得ることができ、回答率は58%に上った。

◎2020年3月末での受注状況
 緊急事態宣言が発令される2020年3月末(もしくは4月1日時点)での受注状況では、「増加している」との回答は47社で、全回答社数88の53%を占めた。増加率は、「20%以下」が38社(81%)、「21~50%」が6社(13%)だった。
 品目別(複数回答)の増加のベスト3は、①麺類(ラーメン、乾麺、スパゲッティなど)、②パン類(食パン、菓子パンなど)、③レトルト類(カレー、冷凍食品など)となった。
 顧客別では、「新規顧客」「既存顧客」で「新型コロナウイルス感染拡大による需要が上回っている」と答えたのが、それぞれ12社、29社となり、既存顧客からの発注量が増加していた傾向が読み取れる。品目の大分類では「食品」「雑貨など」「飲料」の順でした。巣ごもり消費や、感染予防のためのマスクや消毒、抗菌関連の軟包装資材需要が通常よりも膨らんでいたことが分かる。
 一方、「減少している」との回答は26社で29%だった。減少率は、「20%以下」が20社(49%)、「21~50%以下」が5社(12%)でした。減少のワースト3は、①その他、②スナック(ポテトチップ、せんべい、つまみ類など)、③日用品(文具、衛生用品、トイレタリーなど)だった。
 減少理由では、「仕事が年々小ロット化してきたため」が15社、「残業・休日稼働を減らしたため」が13社で、上位を占めたが、3番手には、「新型コロナウイルス感染拡大による需要減」を9社が挙げていた。巣ごもり消費とは対極にある、インバウンド需要の激減、観光や旅行機会の喪失、休業・休学に伴う消費需要の減退が響いている。
 アンケート調査時期が、緊急事態宣言されてから間もない時期であったことから、新型コロナウイルス感染拡大がどの程度、組合員に影響を及ぼしているかは判然とはしないが、従来の経営課題に加え、新型コロナウイルス感染拡大による悪影響が、二重苦となってのしかかっていると推察できる。

◎新型コロナウイルス感染拡大によるビジネスへの影響
 プラスの影響としては、①「内食関連食品の増加」(58社)、②「感染予防による印刷立会(「印刷立会」は印刷機の稼働率低下の一因とされ、大きな経営課題の1つとされてきた)が減少」(57社)、③「保存食(米、パスタ類、即席めんやレトルトなど)向け需要増」(50社)、④「コロナ感染による生産への影響を考慮しての仮需が出ている」(31社)、⑤「衛生用品(マスクや消毒薬など)向け需要増」(25社)となっている。
 一方、マイナスの影響としては、①「インバウンドや国内観光客の減少による土産物等の食品や雑貨類の需要減」(48社)、②「外食(飲食店関連)の売上低下による業務用食品の減少」(39社)、③「イベント中止に伴う土産物やグッズ類の減少」(36社)、④「休校やテレワークの増加によるお弁当用の冷凍食品関連の減少」(19社)と、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が如実に表れる形となった。
 巣ごもり需要は高まっているが、それらは、いずれは落ち着いて、減退してしる。だが、インバウンドや外食、イベント、休校、テレワーク等に伴う需要減は、回復までには相当の時間を要することから、長期化は避けられない。そのマイナス分がプラス分を相殺し、やがては大幅な需要減となり、業界にとって大きな経営課題となることが予想される。

◎緊急事態宣言発令の影響
 仕事そのものが「減る」との答えが42社で、「増える」の29社を大きく上回っている。2020年3月末の受注状況では、仕事量が増えていると回答した組合員が回答者の半数を超えましたが、先行きはとなると、減ると答えているのが印象的だ。
 新型コロナウイルス感染拡大による特需をこなす上では、「配送の手配が難しくなる」(58社)、「納期短縮が一段と厳しくなる」(53社)、「資材入手が困難」(51社)、「会社経営が脅かされる」(39社)、「(忙しすぎて)働き方改革どころではなくなる」(35社)、「原油価格が下落しているので、その分の値引き要請が来る」(32社)、「受注をエサに、見積単価の引き下げを強要される」と「雇用確保が困難になりリストラが必要になる」(各13社)という不安を挙げている。
 一方、「新型コロナウイルス特需を背景に、過剰品質の是正が可能になる」が15社、「新型コロナウイルス特需を背景に、(長らく適正値上げが認められてこなかった)価格修正が可能になる」が6社あった。

◎2020年(または年度)の受注見通し予測
 「減少」が40社、「前年並み」が32社、「増加」が15社でした。「減少」と回答した組合員に減少幅を訊ねると、「20%以下」が26社、「21~50%」が12社、また、「増加」と回答した組合員に増加幅を訊ねると、「20%以下」が10社、「21~50%」が2社で、「51~70%」も1社あった。
 最後に、景気回復の時期を予測していたが、36社が「全く見通しが立たない」を挙げ、断トツだった。以下、「2021年春頃から」(17社)、「2021年の五輪から」(13社)、「2020年末から」(7社)、「2021年末から」(5社)と続く。多くの組合員が、深刻な事態に直面し、しばらくはマイナスの影響が続くと見ている。