加島美術 企画展「小早川秋聲―無限のひろがりと寂(しず)けさとー」を8月31日から開催
2019年08月13日
加島美術(東京都中央区)では8月31日から9月16日の間、独自の死生観と穏やかな眼差しで戦争の「静」を描いた日本画家・小早川秋聲の企画展「小早川秋聲―無限のひろがりと寂(しず)けさとー」を開催する。作品点数は約40点。観覧無料。

大正・昭和にかけて活躍し、「國之楯」をはじめとした戦争画で知られる日本画家・小早川秋聲。日本画家として唯一の従軍画家として戦地に赴いた小早川は従軍中の兵士達の日常に寄り添った静的な戦争を描いた。小早川の兵士達に対する目線は慈しみと尊敬に満ち、激しい描写よりもかえって観る者の心の深い部分に直接訴えかける。ある種「無常のもの」として人の生死を捉え、戦争の残酷さや悲惨さを静かに見つめ、自身の息子達と同年代の兵士達をいとおしみ共に悲しんだ記憶が、作品として残っているかのようだ。その背景には、彼が自らに課した厳しい従軍業だけでなく、幼い頃に宗徒として東本願寺で過ごしたことから醸成された宗教観も影響したものかも知れない。
同展では、その象徴としての「國之楯」を中心として、そこに至るまでの瑞々しい好奇心に溢れた作品の数々と、その後の変わりゆく世相の風を受けながらも尽きせぬバイタリティで残した宗教画などの作品群を通じ、日本画家・小早川秋聲の画業をたどる。

今回の展覧会が、関東圏で開催される小早川秋聲の初の企画展となる。画壇に属さず、画商を通さなかったために、その画業に関する資料は少なく、展示会などでまとまって作品が見ることができる機会も少ない作家だった。同展では戦争画だけではなく、小早川自身の数々の洋行の経験が活かされた風景画なども多く展示しながら、日本画家としての小早川秋聲の魅力をつたえる。

陸軍からの依頼で制作された作品ながら、完成後同省から受け取りを拒否されたというエピソードを持つ小早川の代表作を展示する。この作品のように直接的に兵士の死を悼む作品を描くことは、当時の他の従軍画家達が華々しく活躍する兵士の姿を描いてきたことと非常に対照的だ。後世の私達の胸にも生々しく迫る力を持つ同作は、小早川秋聲を象徴するような作品でもあります。故・高畑勲監督をして「いまもなお、生き残った者としての私たちを、そしてその子孫としての私たちを震撼させ続けている(高畑勲『一枚の絵から/日本編』株式会社岩波書店2009年11月27日初版より引用)」と言わしめた同作。ぜひこの機会に実物をご覧になってください。

小早川秋聲没後25年の機会に編纂された画集『秋聲之譜』を会期中に限り特別価格で販売する。
サイズ 25.5×26.5cm / カラー135ページ
企画:日南町美術館
発行:有限会社米子プリント社
定価:3,500円
会期中特別価格 2,000円

作品をガラスケース越しではなく直接ご覧いただくことができるので、作品が持つ迫力を存分に楽しめる。直接見ることでしか感じることのできない独特の質感やその佇まいをぜひお楽しみください。

小早川秋聲研究者の松竹京子先生と現代美術資料センターを主宰する笹木繁男先生を招き、トークイベントを開催する。知られざる小早川秋聲の魅力を存分に語ってもらう。
開催概要は次のとおり。
▽テーマ=「小早川秋聲という画家:その画業」(仮)
▽日時=9月7日15:00~
▽会場=加島美術
▽参加費=無料