京都大学と凸版印刷 アートの産業応用を目指す共同研究を開始
2019年07月09日
 国立大学法人京都大学(京都府京都市、山極壽一総長、以下 京都大学)と凸版印刷(東京都千代田区、麿秀晴社長)は、アートと最先端テクノロジーを組み合わせてイノベーティブな社会的価値創造を目指す「凸版印刷アートイノベーション産学共同講座」を、2019年5月に京都大学大学院総合生存学館に設置、3年間の共同研究を進める。
 同産学共同講座では、京都大学大学院総合生存学館特定教授・土佐尚子(以下 京都大学教授・土佐)の日本の美・文化を切り口とした「Invisible Beauty:先端技術で見える自然の美」をテーマにしたメディア・アートと、凸版印刷が持つ表現技術を組み合わせ、アートの社会実装に取り組む。
 具体的には、アナログな物理的世界の色彩や形状を、先端技術で捉えてデジタル表現するアート表現から新しい価値の創造に挑む。またそのアート表現を用いて様々な社会実装を行い、新しい工業意匠向け商材から都市開発まで産業応用を目指す。


7月8日に行われた講座開設についての記者会見 (左から 凸版印刷中尾常務、同大久保副社長、京都大学山極総長、同寳学館長、同土佐教授)


 京都大学教授・土佐は、アート・カルチャー・テクノロジーを兼ね備えた人財や組織がイノベーションを起こすことができるとした「アートイノベーション」の先駆者であり、アートとテクノロジーで構成される現代美術が社会イノベーションを生み出す仕組みと日本の美・文化を切り口とした研究を進めている。その中で、アートイノベーションを用いて、資本化できていない芸術文化資源を方法論により経済価値に変換すべきという考えのもと、「物理現象としての美を発見するアーティスト」「発見した美を数式化する学者」「数式化された美をコンピュータでデータ化する技術者」の3者連携が必要と提唱している。
 凸版印刷は、印刷技術で培われたカラーマネジメント技術や高精細な画像データ処理技術、形状を精確にデジタル化する計測技術といった先端表現技術を活用し、4K8K映像表現やバーチャルリアリティー(VR)、デジタルアーカイブなどのコンテンツソリューションを提供している。また社会的価値創造企業として、既存の枠組みから脱却して新たな価値を生み出すイノベーションの創出という社会全体の要請に対しても、取り組みを強化してきた。
 このたび京都大学と凸版印刷の両者は、アートと先端映像表現を切り口に社会をイノベートしていくことを目指し、両社のリソースを有効に活用できる枠組みとして、この共同講座の開設に至った。

■共同講座の概要
・名称
 凸版印刷アートイノベーション産学共同講座
・設置場所
 京都大学大学院総合生存学館
・参画機関
 凸版印刷株式会社
・研究期間
 2019年5月 ~ 2022年4月

■主な研究内容
・アートコンテンツの研究ならびにアート技術の開発:
 アート・カルチャー・テクノロジーの境界領域において、日本美(※1)をテーマとしたコンテンツを制作し、先端映像表現の産業応用として社会実装するための方法論確立に取り組む。
 音圧により躍動させた流体をハイスピードカメラで撮影・制作する京都大学・土佐のアート作品「Sound of Ikebana(サウンドオブ生け花)」を3Dモデリング化し工業意匠に応用。アナログの自然界から生まれたデジタルアート研究のプロジェクト化、これらのアートイノベーション研究成果の発表、成果を用いた社会貢献を目指す。
 また、アートを活用した効果的な空間演出手法の体系化・構築など、新しい価値創造技術の開発を行う。
・アート思考による人財開発:
 アーティストの創造プロセスを応用した新ビジネス領域開拓手法や企業ブランディング手法の構築、新しい価値創造を生み出すことを目的とした人財育成のためのアートイノベーション手法の開発を行う。


2016年度文化庁文化交流使の任命を受け8カ国10都市を訪問し、ニューヨーク・タイムズスクエアの60以上のビルボードに2017年4月の1ヶ月間、毎夜1157から3分間日本の春の花を上映し、文化交流を行なった「Sound of Ikebana(春)」


※1日本美について
自然界に存在する肉眼では確認できない瞬間的な物理現象が作る形状に見る、日本的美しさを表す京都大学教授・土佐の造語。