日本出版クラブ 第58回全出版人大会 出版の原点を見つめ直す令和元年にしていく
2019年05月09日
 一般社団法人日本出版クラブ主催の第58回全出版人大会が5月8日、千代田区紀尾井町・ホテルニューオータニで開催された。同大会の委員長は朝日新聞出版社長の青木康晋氏が務めた。今回古希を迎えた39名を祝い、312 名の永年勤続者を表彰した。式典終了後、小説家の柚木麻子さんが講演を行った。
 野間省伸大会会長は平成をふりかえるとともに、「令和を迎え、紙や雑誌の売れ行きが減少し、書店の減少に歯止めがかかっていない。加えて10月には消費税が10%に上り、本の売れ行きに影響すると心配されている。出版物への軽減税率適用に向け、政府の方々と交渉を続け、海賊版サイトについては平成から残した問題で油断を許さない。ただ、電子出版やWeb広告などデジタルの動きは好調と言っても、表現媒体は多岐に渡り結局は優れた作品やコンテンツを作り出すかで、出版の原点に立ち返り魅力あるコンテンツを作る、クリエイターを見出す、クリエイターを作り出すことに尽力していく。さらにクリエイターと著作者の権利と利益を出版社が一体となり、従来型の出版のみならず表現を展開する努力をしていきたい。大会声明にあるように、出版の原点を見つめ直す令和元年にしていこう」と挨拶した。
 次いで、青木康晋大会委員長は「大会委員長のミッションは三つ。まず講師の選任だが、今回は37歳の新鋭作家の柚木麻子さん。山本周五郎賞を受賞し、12社から出版されている。女性だけでなく男性にも人気がある。二つ目はお土産の風呂敷のデザインだが、今回は「山藤章二さんにデザインをお願いした。そして三つ目は大会声明を読むこと」と述べ、大会声明を朗読した。大会声明では、「私たち出版人はどう生きるか。時代の変化に合わせて人びとが欲する出版物、時代の一歩先を行き、進むべき道を照らす出版物、どんな時代にも価値を持ち続ける出版物をつくる、ということではないでしょうか。これからも私たちは、果たすべき使命に誇りを持ち、いい本、いい雑誌、いいコンテンツを読書に届けましょう。出版文化は永遠です」と誓った。
 引き続き、来賓の永岡佳子文部科学副大臣は「わが国の活字文化は人類の高い歴史で培ってきた知識を後世に伝え、さらに人々の豊かな人間性を高めることに欠くことがない。人はこの世に生まれて数ヶ月たつと本にふれ、初めはそれが本だと認識せず本に出会う。色や形、文字などを知り、人の気持ちや自分の生きている社会を知る。手に取る本は人それぞれ違うが、本は人が生まれた時から絶えず一人ひとりの側で人生に寄り添っている。新しい時代においても、人々は本や雑誌などの出版物で楽しみや感動、また知識や課題を乗り越える答えなどを求めるだろう」と祝辞を述べた。
 羽入佐和子国立図書館館長は「毎回、大会声明を拝聴し、国立国会図書館の使命を改めて考える機会を頂いている。今回の声明では、価値観が多様化し、揺れ動く中、知の集積の出版物が道しるべとなる。出版文化が根付いている国は人々の精神が豊かであると述べられている。どんな時代においても出版物を作る決意が表明されている」と述べた。
 長寿者祝賀、永年勤続表彰が行われた後、柚木麻子さんが「再評価がヒットの要」をテーマに講演した。


 長寿者39名を祝い、312名の永年勤続者を表彰