大日本印刷 不妊治療用「次世代型タイムラプスインキュベーターシステム」を開発
2018年05月25日
アステック、医療法人浅田レディースクリニック、大日本印刷(DNP)の3社は共同で、不妊治療時の受精卵に最適な培養環境と、受精卵の発育を撮影・記録し、画像解析ソフトによる受精の自動検出などの機能を持った「次世代型タイムラプスインキュベーターシステム」を開発した。同システムは、アステックが7月1日に販売を開始する。

近年、晩婚化などの影響もあり、日本の不妊治療の実施件数は増加している。不妊治療のひとつが体外受精だ。体外受精でできた受精卵は、女性の体内とほぼ同一の環境を持つ「インキュベーター」内で数日間培養した後、状態の良いものが選ばれ、女性の体内に移植される。培養中は、順調に発育しているかを確認するために、定期的に受精卵をインキュベーターから取り出して顕微鏡で観察する必要があり、胚培養士(体外受精の操作を行う医療技術者)の負担が大きいだけでなく、受精卵が外気にさらされることが発育に悪影響を及ぼす可能性があった。
今回3社は、従来よりも小型で、受精卵の発育に効果的な培養環境を有し、撮影データを活用したディープラーニングによって観察作業を効率化する「次世代型タイムラプスインキュベーターシステム」を開発した。

【「次世代型タイムラプスインキュベーターシステム」の概要】
同システムは、既存のタイムラプスインキュベーターに対する浅田レディースクリニックの要望に基づき開発したもので、アステックが開発したタイムラプスインキュベーター本体と、DNPが開発した専用ディッシュと受精卵の前核(卵子の核と精子の核とが最初の合体を起こすまでの間)を自動検出するソフトで構成されている。

<タイムラプスインキュベーター(本体)>
幅382×奥行き591×高さ210mmと、従来の機器に対して、大幅に小型化しました。設置場所に余裕のないクリニックでも導入しやすく、2台を重ねて設置することも可能。

<受精卵培養ディッシュ>
一般的な培養方法である「液滴培養法」では、受精卵の発育を促すためには、一滴の培養液内で複数の受精卵を培養する「グループ培養」が望ましいとされているが、従来のディッシュでは個別管理はできなかった。
同システムで使用する専用ディッシュは、受精卵に最適な培養環境を提供するために設計されており、複数の微細なウェル(培養するくぼみ)により受精卵の個別管理が容易でありながら、「グループ培養」を両立することができる。

<前核自動検出ソフト>
患者の複数の受精卵がそれぞれ正常に受精しているかを判断するため、胚培養士が前核の確認を行うが、前核の確認には技量と多くの時間を要する。同ソフトはディープラーニング技術を用いて、撮影された画像を解析し、受精卵の前核を自動検出することで観察作業を効率化し、培養士の負荷を軽減する。

【参考価格(税抜き)】
・ システム一式 : 11,000,000円(受精卵培養ディッシュは別売り)
・ 内訳 : タイムラプスインキュベーター(本体)、NAS・LAN用ハブ、動画作成・前核自動検出用ソフト、専用PC・モニター

【今後の取り組み】
3社は、不妊治療クリニックに同システムを販売し、2020年度で年間50台の採用を目指す。


 タイムラプスインキュベーター