印刷工業会 管理者研修会で脳を効果的に活かす方法を学ぶ
2018年03月06日
 印刷工業会(山田雅義会長)の技術部会(服部克彦部会長)は3月5日、中央区新富・日本印刷会館で管理者研修会を開催した。今回は、東京大学薬学部教授の池谷裕二氏を講師に迎え、『脳を知って未来に活かす』をテーマに講演した。池谷氏の専門分野は大脳生理学で、特に海馬の研究を通じて、脳の健康や老化について追求している。著書には、『海馬 脳は疲れない』、『記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』、『しんかし過ぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線』など。今回の研修会で、脳を効果的に活かす方法を学んだ。
 服部部会長が池谷氏の略歴を紹介し、講演に入った。講演ではまず、「脳とは何か」と問いかけ、頭がいい、すなわち知能を支える三つの要素として、1倫理(算数)、2言語(国語、コミュニケーション力)、3熱意(やる気)の三つが揃ったら頭がいいとされる。そして、「やればできる」という言葉は教育上、言ってはいけない言葉であり、「やればできる」とは、いつかやればいい、と先延ばしし、やらないことに固執し、結果、落ちこぼれになる。また、知ることを楽しむ好奇心が必要であり、検索の失敗が学習を促進する。失敗に負けない熱意が大切だ。さらに、やる気は脳の側坐核を意図的に活性化することで出るという。
 後半では、「歳のせいで記憶力が衰えたと言うが、記憶力は衰えない」と指摘し、「1保有している知識が増えたから、2覚えよう努力していないから、3時の進みが遠く感じられるから、4記憶力が衰えると言われているから、5生きることに慣れてしまったから」と解説し、「ネガティブな自己暗示は能力を低下させる。楽しくゴキゲンに生きることだ。記憶のカギを握るのは海馬で、マンネリ化は脳の敵である」と強調した。
 そして、日本は前例のない長寿社会となった。女性の平均年齢は87・1歳、寿命の中央値は90歳。今生まれた人は何歳まで生きるか、2007年に生まれた50%は100歳以上生きる。
また、将来を選ぶ二つの原理、何をしたいのか(目的主導型選択)VS失敗したくない(消去法型選択)だけではだめな時代となり、現在の小学生の65%は将来、現在にない職業に就くとされる。同氏は「将来の夢の65%は叶わず、夢を抱くと35%の狭き可能性も断つ。将来、どんな世界がやって来ても順応できる柔軟性を磨くことだ」と語った。最後に「好きに理由はない。熱意とは、笑顔とガッツポーズで作る」と締めくくった。


  講演する池谷裕二氏