モリサワが取引関係先を招待 凸版印刷博物館「ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ」で見学会
2015年07月21日

ルネサンス書物の魅力に時を過ごす
写本から印刷本へ転換点を学ぶ
四年間かけ準備された貴重な資料と説明を堪能

 モリサワ(森澤彰彦社長)は6月10日、東京都文京区の印刷博物館(樺山紘一館長)において7月12日まで開催中の「ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ  書物がひらくルネサンス」の見学会を開催。印刷会社など、取引関係先を招待して同展の企画学芸員の中西保仁氏による解説を聞きながら、参加者はルネサンスと書物の魅力に触れた。
 世界に類を見ない貴重書を多数所蔵しているヴァチカン教皇庁図書館。2002年に開催された前回の「ヴァチカン教皇庁図書館展 書物の誕生―写本から印刷へ」では、聖書を中心とした写本、初期活版印刷本が展示され、写本から印刷本への転換点や変遷が紹介された。
 第2回となる今回は「書物」と「ルネサンス」をキーワードに、ヴァチカン教皇庁図書館が所蔵する第一級の中世写本、初期刊本、地図、書簡など21点を中心に、印刷博物館や国内諸機関が所蔵する書物を加えた計69点が展示されている。
 具体的な展示物は、ヨーロッパ最初期の挿絵本のひとつである「人類贖罪の鑑」や、グーテンベルク活版印刷所を継いだペーター・シェーファーが手掛けた印刷本「ユスティニアヌス帝/法学提要」、日本の活版印刷の嚆矢である「どちりいな・きりしたん」(きりしたん版)、九州のキリシタン大名の名代として派遣された伊藤マンショら天正少年使節4人の署名が入ったヴェネツィア共和国政府への感謝状など。
 このほかにも、プロジェクションマッピングを使い、展示場内に設けられた4m四方のスクリーンにヴァチカン教皇庁図書館の歴史なども上映されている。
 見学会では冒頭、モリサワの森澤嘉昭相談役が「今回の企画展は4年間かけて準備されたものであり、素晴らしい内容となっている。書物や文字文化に関心のある皆さんと一緒に学びの時間を楽しんでほしい」とあいさつした。
 この後、印刷博物館学芸員の中西保仁氏が「この企画展を開催するまでにヴァチカン教皇庁図書館に計8回訪問して交渉を重ねながら準備を進めてきた。21点の作品を借りたが、図書館が3点以上の書物を貸し出すことは特例であり、この機会でなければ見ることができない貴重なものばかりである」と説明したうえで、「ルネサンスと言えば、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロなど、名立たる芸術家たちのアート作品に焦点が当たりがちではあるが、生きることの喜びや欲求が当時のルネサンスの書物からにじみ出ている。キリスト教の発展とルネサンス文化の広がり、アジアと西洋との最初期の出会いを書物の中から感じ取ってほしい」と同展のポイントを訴え、各作品の見どころを解説した。
 印刷博物館では、1997年からヴァチカン教皇庁図書館と交流を深めており、凸版印刷のデジタル化の技術により、世界に49セットしかない貴重なグーテンベルク聖書などのデータ化・保存作業に協力、2002年には第1回のヴァチカン教皇庁図書館展を実現している。
 また、2005年からは「キケロ・プロジェクト」を開始。パリンプセスト資料を特別に開発された紫外線を用いたスキャナーを使用して高画質での複製を実現させるもので、これによって人類が今まで見たことがない、消されてしまった文字・文章が浮き上がって世紀の大発見になる可能性が期待されている。
 なお、同企画展は7月12日(日)まで開催される。


見学会の様子