FFGSと富士特殊紙業がデジタルグラビアで記者会見
2015年05月30日


FFGSと富士特殊紙業がデジタルグラビアで記者会見

低臭気UVインクジェット技術と軟包装デジタルグラビア印刷機で

 富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(渥美守弘社長)と富士特殊紙業(杉山仁朗社長)は4月24日、軟包装印刷用「低臭気UVインクジェット技術」の開発実用化と、同技術を搭載した軟包装デジタルグラビア印刷機「FUJI・M・O」開発の合同記者発表会を開いた。
 合同記者発表会には、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズから吉田整会長、佐藤武彦アドバンストマーキング部部長、富士特殊紙業の杉山仁朗社長、杉山真一郎専務、ミヤコシの天野剛執行役員営業本部副本部長兼POD営業部長、オリエント総業の原田等社長、原田秀典常務取締役らが出席。
 冒頭、吉田会長は「当社では、既存事業であるオフセット印刷を主とした製版・刷版を中心に資機材をワールドワイドに提供しながら、今後の新規事業の提案として、デジタル・プリンティングとパッケージ印刷分野へのソリューションを市場に展開している。
 パッケージ印刷分野では、脱溶剤・水性化など、環境や安全といった側面とともに、製版システムから印刷機・後加工まで、水性フレキソ印刷のトータル・ソリューションを構築し、昨年春には足柄に『グランパックス・ラボ・センター』を開設したほか、ダイレクトレーザーによる彫刻機と版材を『FLENEX』シリーズとして、昨年秋からグローバルに展開、具体的に導入や検討を支援している。
 食品包装を主とした軟包装グラビア分野では、短納期・多品種の要求がますます高まっており、400m以下のジョブの比率が大幅に増えているといった小ロット化が加速し、重要な課題となっている。
 当社では、日本の研究・開発部門と、イギリスのインク開発・製造を担うグループ子会社が連携し、この課題に対してデジタル印刷・インクジェット技術を活用した解決策の検討を開始した。
 従来、業界では軟包装分野のインクジェット化は、課題が多く難しいとされていたが、UVインクジェット技術を活用することで多くの課題解決はできるが、食品に対する安全性が社会的にも重要視されている現在、最大の課題は『UVは臭いがする』ということであった。
 そこで、当社では市場で達成できなかった課題に取り組み、これまで培ったインク開発技術、画像形成技術を活かし、窒素パージ技術を活用・応用した最適化に向けて研究を重ねてきた結果、数々の問題点をブレイクスルーし、世界で初めて新たなデジタルインクジェット技術を応用したイノベーションであるUVインクジェットの低臭気化の達成に至った。
 これにより、パッケージの軟包装印刷分野において、可変印刷およびエンドレス印刷にも対応でき、小ロットでもコストを抑えられ安定した品質を実現するインクジェットデジタルとしてのソリューションが完成した。
 これをアライアンスパートナーであるデジタル印刷機メーカーのミヤコシと協業で、高品質と高生産性を両立する低臭気UVインクジェット技術をインクジェット印刷機に搭載し、世界に先駆け実用化に至った。
 そして、このほど常に環境配慮とグラビア印刷の水性化に対し、先進的に取り組んでいる富士特殊紙業が進めて完成した革新的なデジタルとグラビアを融合した印刷ユニット『FUJI・M・O』に、富士フイルムの軟包装用の低臭気UVインクジェット技術が採用され、ついに実用化を実現した。
 当社の最新技術を初めて採用され実用化に至るまで、その卓越した技術力と培われてきたノウハウで、品質や運用に関する評価に対し、多大な協力を得たことに感謝している」と述べた。
ハイブリッド印刷ユニット「FUJI・M・O」開発

 今回発表された「低臭気UVインクジェット技術」は、実用化の第1弾として富士特殊紙業(愛知県瀬戸市、杉山仁朗社長)のデジタル・グラビアハイブリッド方式の印刷ユニット「FUJI・M・O」に搭載された。
 「FUJI・M・O」は、富士特殊紙業が、富士フイルム・ミヤコシ共同開発のインクジェットデジタル印刷ユニットと、オリエント総業(原田等社長)の水性グラビア塗布ユニットを組み合わせることで実用化したシステム。
 CMYKのインクジェット印刷ユニットに、水性グラビア印刷の白インクユニットをインライン接続することで、インクジェット印刷ならではの小ロット・短納期対応のメリットを活かしながら、印刷面積の広い白インクに従来のグラビア材料を使用することで、低ランニングコストでの運用を実現した。
 富士特殊紙業では、今回の実用化に向けて富士フイルム・ミヤコシの製品評価に協力してきたが、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「平成25年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業」の認定を受け、富士フイルム・ミヤコシ・オリエント総業とのコラボレイティブ・イノベーションとしてこのプロジェクトを推進し、3社とのパートナー関係を一層強化している。創業65年になる食品パッケージの製造・販売では老舗専業企業の富士特殊紙業では創業以来、「食品を作らない食品工場」をコンセプトにした工場のもと、食品パッケージに対応した品質管理と開発を行ってきた。
 特に、製造工程において有機溶剤に起因した環境問題、従業員の健康問題、食品パッケージの残留溶剤のリスクおよび食品パッケージの小ロット多品種化に対応する技術開発は業界での生き残りを賭けた大きな課題であった。
 有機溶剤に起因する課題に関しては約15年の歳月をかけ、グラビア印刷の水性化、張り合わせ工程の無溶剤化に成功し、現在は実用化を進め、有機溶剤の使用を極限まで削減した食品パッケージは、得意先をはじめ、国内外の専門機関から大きな評価を得ている。
 一方、人口減少、ライフスタイルの変化、流通の多様化が進み、食品の小ロット・多品種化は今後避けることができない。その市場の変化に食品パッケージも対応を求められている。
 元来、フィルム使用の食品パッケージは、グラビア印刷を主力に各種印刷方式で印刷されている。いずれの印刷方式も印刷用の版を作り、インキを使用し、色を調整し、印刷を行ってきた。
 版を作ること、インキを使い色の調整を行うことは、多額の費用と時間を必要とする。そして、それに伴う製品ロスと印刷機の低稼働率は、グラビア印刷会社にとって負担となっている。
 そこで、富士特殊紙業は業界が存続の危機に陥る前に、印刷の将来性を見据え版を必要としない、そしてインキの調整を必要としないデジタル印刷方式として、プラスチックフィルムに印刷をする技術開発を進めることを決断した。
 この大きな挑戦には多くの革新的技術の集結を必要とした。そこで、グラフィックスに関して総合的な知識と技術が集結している富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ、インクジェットデジタル印刷機メーカーのミヤコシ、水性グラビア印刷機メーカーのオリエント総業と富士特殊紙業の4社が集まり、コラボレイティブ・イノベーション事業としてスタートさせた。
 今回発表された「FUJI・M・O印刷機」は、協力4社の頭文字に因んで命名した機械であり、プラスチックフィルム印刷のデジタル化に関し4社の技術の枠を結集して完成した、世界でも全く新しいデジタルグラビア印刷機となっている。
 この軟包装デジタル印刷グラビア印刷機は、今まで困難であったグラビア印刷のオペレーターの技術の標準化も期待でき、富士特殊紙業では小ロット・多品種化の対応とともに、デジタル技術を活かした今までにない全く新しいパッケージを提案していく。
 合同記者発表会で富士特殊紙業の杉山社長は軟包装デジタルグラビア印刷機「FUJI・M・O」を採用した背景について次の通り説明した。
 「当社はスーパー・コンビニで手にする食品パッケージを印刷・加工して66年となり、食品・パッケージでフィルムに印刷する加工業としては一番古い会社であり、プラスチックフィルムにグラビア印刷をもっていろんな印刷をしているが、この仕事をスタートした時から主に2つの課題を抱えてきた。
 ひとつは、インクの問題であり、グラビア印刷機でプラスチックに印刷する場合、VOCを使わないとインクが溶けず、フィルムに載らないという大きな宿命を抱えていた。
 大気汚染防止法が改正され、平成22年から有機溶剤を大気に放出してはならなくなったことである。当社ではインキメーカー・フィルムメーカー・製版メーカーと一緒になって英知を出して瀬戸市に工場を移転したのが21年前で新工場の建設と同時に有機溶剤の使用をやめた。
 もうひとつは、グラビア印刷の大きなハードルとして小ロット化がある。これは先代がやっていた時から有機溶剤の問題と小ロット・多品種が来た時に、あまりにも設備が大きく手間を掛け過ぎているため、小ロットで立ちいかなくなるから、『小ロット・多品種の機械を探してこい』と言われ、何とか小ロット・多品種がハードルにならない印刷方法を探したが見当たらなかった。版を作ってインクを調合するという手間を省かなければ小ロット・多品種の解決策にならない。これが外れる機械が出れば、採用して何とか食品パッケージに合う新しい印刷方法に期待を抱いていた。
 デジタル化に対してインクがのらない、臭いがする、透明フィルムといった3つの大きなハードルがあった。
 そこで、インクジェットの部分はFFGSを先頭に、ミヤコシに担当してもらい、白色は水性グラビア印刷を10年以上付き合いのあったオリエント総業に参加してもらった。その結果、有機溶剤やアルコールを一切使わないものとして完成した。
 この機械のメリットは、2000m以下の仕事になると版を作ってインクを調合して、色合わせをしていると時間とお金の無駄を作ることを解消したことである。小ロット・多品種は進む中で、これからこれを叩き台にしてお客様と一緒に商品を作っていきたい」と手応えを示した。(2015年5月30日号掲載)