東のタイヘイ 西の高速オフセット 西日本初の商業輪転バリアブルを導入
2015年05月14日


東のタイヘイ 西の高速オフセット
西日本初の商業輪転バリアブルを導入

日本初の2色印字を可能に企業文化としての設備投資

 高速オフセットは、従業員460名、昨年度の売上額は142億円の実績を残す関西における中堅大手として、あらゆる印刷メディアに対応する総合印刷会社となっている。
 毎日新聞、スポーツニッポン、大阪スポーツ、聖教新聞等の日刊紙から、各自治体の広報紙や業界紙、ミニコミ紙まで網羅した「新聞印刷」と、チラシ、ポスター、カタログ、パンフレット類等を扱う「商業印刷」、書籍、雑誌等の「出版印刷」、OA機器に対応する請求書やマークシート用紙等を作成する「フォーム印刷」まで幅広く展開している。
 今回バリアブル印刷への進出を採用決断したのは商業印刷事業部門で、西日本初のケースになる。同事業部はミヤコシ製商業輪転機4台と2年前に三菱重工製LITHOPIA2台を導入して、鏡に映したように設置する「2in1」方式という独自のライン構成を行うことで、1台でB4・両面8頁を印刷することができる機能を2台連結して1度に16頁を印刷できるように工夫している。
 このLITHOPIAの1台にKodak Prosper S10を2基追設して、10・56cmの印字幅にスミとレッドの2色を2列で印字することができるようにしている。商業印刷では東京のタイヘイが小森製オフ輪にProsperを1基搭載してバリアブル印刷に着手しているが、今回の2基搭載によるスミとレッドのスポットカラー印字を可能にしたケースは日本初となる。
 Prosperには解像度と印字スピードの違いによって5機種が用意されているが、高速オフセットが導入したのは毎分300メートルの印字スピードを持ち、解像度でも600×600dpiの精度を持つ商業輪転用として最高条件を備えたものとなっている。使用されるインクは新開発の水性顔料インキで、染料系よりも優れた耐久性と高耐傷性、耐退色性を維持するものとなっている。
 橋本伸一社長は、西日本初、日本初のハイブリッドデジタル印刷システムを完成させたことについて、技術面での自信と市場の新規開拓について次のように語っている。
 「もともと当社の企業文化の中に、世間よりも半歩進んだ設備を導入して、リスクを少なくして新たな需要を掘り起こしていこうという文化があります。12年前に4台のオフ輪を連結する『4in1』を業界で初めて開発導入していますが、今回のハイブリッドデジタル印刷も、そうした設備投資の一つではあります。単にバリアブル印刷で終わるのではなく、発注クライアントの集客増収の願いを支援するマーケティング活動など、次のことも視野に入れておかなければなりません。基礎から何かを作り上げていくことで若い社員のモチベーションが上がり、無我夢中になって取り組める、皆が一つになれるよい材料ではないかと考えています。
 既存のものだけで営業を促しても、市場が小さくなっているのですから成果は上がらない。もうダメだと元気がなくなりますが、工夫することによって新しいマーケットを掘り起こしていける。そういう流れができれば、皆が働きやすい環境になっていくと思っています。
 印刷を発注してくれる既存のお客様にバリアブル印刷を使った仕掛けで、集客力のアップと売上げ増をはたすマーケティング提案と企画をお届けして、バリアブル印刷を頼んでよかったと言われたいですし、その結果としてシュリンクしていくマーケットの課題を解決することになるのではないか、そんな期待を持って臨んでいます。新規のお客様に対しては時間がかかると思います。バリアブル印刷の特性やどんなツールがあるのかを、設備を持っている私たちが説明して、バリアブル印刷の仕組みを十分に理解してもらうまでの時間や、使おうという気持ちになっていただけるまでに時間はかかると考えています。
 私たちは印刷にこだわっています。商業印刷の世界にはまだ印刷の伸び代があり、いろんなバリエーションが考えられ、導入するならば商業印刷事業部でと判断しました。商業印刷で成功すれば、新聞事業でも検討するに値する。バリアブル企画で読者の関心を引くのであれば、新聞を読まない世代が新聞を読むきっかけになるのではと思っています」。
 今はバリアブル企画による集客力を実感してもらうための期間だと橋本社長は考えている。そのために「まずは親しんでもらう」ことを目的に活動し、次に「もう一歩踏み込んで設備投資をして、最初は損得にこだわらないで認知してもらうこと」へ歩を進めていく考えを示す。
 「それでクライアントが効果を実感してくれたら、その後で儲けさせていただきます。こういう世界にしたいと思っています」と語っている。


一般消費者を引き寄せる購買企画を印刷のアイデアでカタチにする

「バリアブルスタンプラリー」協賛
(株)高速オフセット
本社・営業本部/大阪市北区梅田3丁目4番5号
堺工場/大阪府堺市堺区松屋大和川通3丁132番地

 景気低迷や電子メディアの台頭により、落ち込んだ印刷需要を取り戻す戦略的な設備投資がクローズアップされてきている。受注産業から創注産業への転換手段の1つとして、商業印刷企業が保有する商印オフ輪の高品質・高速機能を活かしながら、毎秒20mの高速スピードでインクを噴射するインクジェットノズルをオフ輪に追加搭載して、大量の印刷データをコントローラの指示通りに印刷物の一定箇所に1枚1枚異なる情報として打ち込むオフ固定化情報と可変情報を融合するハイブリッドデジタル印刷を可能にした新たな販促企画を生みだす道が開き始めている。
 しかし、印刷発注クライアントが体験していない未知なる販促企画の仕掛けにどのように誘導するか、高額インクジェットヘッドへの投資と合わせて、積極的に動く企業が少ないのも現状といえる。この未体験の市場に、大阪市北区梅田に本社を置く株式会社高速オフセット(橋本伸一社長)が、このほど本格参戦を挑むことを発表して注目されている。バリアブル印刷を手掛けるのは商業印刷事業部門で、今年2月に三菱重工LITHOPIAにコダックProsper S10を2基搭載して体制を整えている。


これからの商業印刷の在り方を求めて
可変情報のニーズ開発に着手

販促付帯装置は独自開発で
設備と営業手法の2面戦略

 橋本伸一社長はハイブリッドデジタル印刷の着手目的を次のように説明する。
 「私どもに印刷を発注してくれる方々が、バリアブル印刷を使った仕掛けで集客力がアップする。そういう企画提案ができないかということを考え続けてきました。マーケティングに役立つ内容とは何か、お客さんにとっての集客力・売上増を促す企画とは何か。もしそれが実現できればお客様に喜んでいただけるだろうし、印刷物の市場がシュリンクしていく中で需要を確保できる、我々にとってもいい投資になる」。
 バリアブル情報を活かした企画によって、いかに集客できるか、その結果を増注増収に発展させられるか、その基になるバリアブル情報を電子的にどのように集約していくか。そのためのソフトや各種のツールが必要になるが、こうしたマーケティング事業の先陣を走る(株)高速オフセットは、自前で開発していくことになる。
 赤尾一取締役印刷本部長は「ディスプレイ、モニターや読み取り装置、例えばQRコードやバーコードなど、数字を読み取る装置も含めて、いろんな仕組み・仕掛けが作れると思います」と自信を示す。
 「バリアブルのオリジナル情報が印字されたものを持ってきていただいて、読み込ませて、お店ではデータとしてそれを残しながら、クーポンをその場で印字してお客さんに得をしていただく。道具を使いながら仕組みづくりができるのではないか。いろんなパターンが考えられると思います」と語る。
 一方、営業部の先頭に立つ真田裕司営業本部営業二部部長は「実際に機械の設置が終わったのが2月で、どんなものかわからない中で試行錯誤をしてきました。はっきりとした題材が見つからなかったのですが、今回、JP展に「バリアブルスタンプラリー」として参加することで総合的に体験することができると思っています。1年前にチームを立ち上げて全社横断的に若い人たちで検討してきていますが、具体的な形として一般の使途を巻き込む形で経験するのは今回のJP会場が初めてなので、私たちとしては第一子の赤ちゃんが誕生するというイメージです」と語る。
 商業輪転によるハイブリッドデジタル印刷を先駆ける同社は、先例のない事例に直面することも多くなる。「開始したからには、営業もそれに追随していかなければと考えている」とも真田部長は言葉を続ける。
 橋本社長は、毎年の設備投資を基本方針とする技術改革に対して今回は営業手法の改革を伴うと同時に、電子メディアの独自開発と関連ツールの導入など多岐にわたる対応に迫られることになる。
 「最初は営業の人も、会社はこういうことを考えているがどうかと聞くと、腰が引けていました。売れない、無駄ですという発言が相次いで、まだ世の中にないものがあればもっと売りやすいとは考えない。それでも会社としては、使い方によってはお客さんが喜んでくれるのではないか、お客さんに喜んでもらい、その結果として儲かればこんないい話はない。本腰を入れて活用の仕方を考えてくれと、1年前に立ち上げたという経緯があります。生産・加工部門は、これまでもインラインで断裁など、オペレーティング的には難易度の高いものをクリアしてきたので、まったく心配していませんでした」。
 1年間にわたる検討・研究期間を経た現在の営業の変化を真田営業部長は、「営業の武器が増え、それに伴うマーケティング系のソフトも導入していただきました。今までは印刷をくださいという営業でしたが、それだけでは明日への保証はないという進化の途中です」として、その具体的な姿を次のように語っている。
 「通常の営業にも表れてきて、新規の取り方も変わってきています。マーケティングなど、変わったものを提案して、面白いから見積もりを依頼されるというように変わってきています。初めから、安いのでくださいというのではなくて、こういうことができますが興味はありませんか。そういうところから入って、興味があれば見積もりを出してということになります。逆転の発想になって来ています」。
 生産設備に依存してきた印刷企業が、クライアントの後方支援として新たな知識とソフトやツールの開発から攻め込む。まさに逆転の発想がこれから始まる。(2015年5月14日号掲載)