JP展14日に卒業生が集い「JPA・関西応援団」を立ち上げる
2015年05月30日


JP展14日に卒業生が集い「JPA・関西応援団」を立ち上げる
求められる新時代継承者の育成に動き出すJPA

浅野健理事長が結団式で激励講演

 後継者育成を目指す日本プリンティングアカデミー(JPA・浅野健理事長、猪股康之学校長)が、5月14日、「JP2015情報・印刷産業展」の開催会場となったインテックス大阪の6号館2階会議室で、JPA関西卒業生が参集して、次世代経営者の誕生を支援する「JPA・関西応援団」を発足させた。
 後継者育成に関心を持つ企業経営者や候補者、あるいはメーカーなどからも同じ志を持つ人なら誰でもが参加できる。すでにOB会が組織されているが、OB会の縦系列に加えて横のつながりを重視する応援団構想によって、後継者育成思想の広がりを期待している。今回の結成を皮切りに、順次、東京、名古屋などでの結成が計画されている。
 全国応援団の団長となる浅野理事長は、同日の結団式で、JPAの誕生経緯を説明するとともに、時代が求める事業継承者のあるべき姿を基調講演の形で描いてみせ、企業及び業界再構築への意欲を促した。その主要部分を紹介する。


生産技術から経営技術にシフト企業引継ぎ再構築する力を養う

 今、本科の1年生と2年生、合わせて10人です。1年生が5人、昨年の1年生がそっくり2年生になりました。そして編入が1名、久々の二ケタです。そんなことで喜ぶのかと思うかもしれませんが、久々の二ケタで、学生が10人いてくれることでどれだけ学校が楽しいか。劇的に変わっています。
 ありがたいことに、過去の蓄積があったので無借金、資金を使わないようにしてきました。何かのときのためにと思って減らさないようにしてきました。そして今、それを積極的に投資しています。設備投資、改修投資、そして人材投資。投資のないところにリターンはない。しかし投資リスクはあります。投資しても学生数は増えないかもしれない。どうしますか。そのときはやめたらいいじゃないか。もう役目を果たしたと思うしかない。
 学校の前のマンションの1階に使わなくなったスペースがありました。そこをなんと兵庫県、大阪府、群馬県、青森県の卒業生たちが自分たちの東京事務所にしたい。4者が集まれば知恵も出てくるだろう。そんなことでこの4月から使ってくれました。そこを使ってもらうための投資もしました。その方たちも投資をしてくれて、学生と一緒に現実の苦労の話をしてくれています。
 対象者はこれから印刷会社を引き継いでいきたい人たち。もっと言えば、従来型の印刷会社であることを打ち破って、もっとダイナミックに、自分が経営して喜べる、楽しめる。そして、仲間たちにもそう思ってもらえる企業にリニューアルしたい。もうリフォームでは間に合わない。一度更地にして、そこに再度建物を構築する。そんな覚悟を持ってくれる人に育てたい。
 今までは、印刷物を製造するための勉強でした。しかし、これからは経営をサポートするための技術教育。例えば印刷現場の温湿度管理は工場マターですか。私はそうは思わない。
 これは経営マターです。メンテナンスはどうですか。メンテナンスは時間がかかります。その時間を生産時間からどう作りだして、その時間は何が何でもメンテナンスにあてる。その覚悟は工場マターですか。経営マターでしょう。
 実際にメンテナンスは何をやるのですか。温湿度管理を前提として、例えばドットゲインの管理は月に1回でいいのですか。濃度管理だけでいいのですか。さまざまなチェックポイントがあります。それをチェックしないと、それが少しでもぶれると、どんな現象が出てきますか。裏付き、ムラ、さまざまな現象が出てきます。だからメンテナンスが必要になります。
 しかし、そのメンテナンスは時間も明確に与えられていない。しかし、メンテナンスのチェック表だけはある。どうなりますか。やったことにしてしまいます。忙しいからできなかった。明日も忙しいに決まっている。納期がずれたやつがまた入ってくるのだから。そうすると最初に決めたものが形骸化していきます。そうするとどうなるか。あとで高い請求書が回ってきます。機械の修繕費です。10年もつ機械が、なぜうちは6年なのかということになる。だから経営マターです。それを今からわかってほしい。理解してほしい。


先輩の苦労を醍醐味に変えて
自ら考え行動する経営者目指す


 素晴らしい印刷機のオペレーターになりたい。そういう人は、技術を学べるところに行けばいいと思います。小森さん、あるいはハイデルに行って、毎日OJTで先輩から教わりながら、盗みながら、スキルの高い印刷オペレーターになってください。でもわが校はそれとは違います。経営というサイドで、もう一つは発注者の視点で印刷を知ってもらいたい。なぜなら、発注者の上を行きたいからです。だから提案につながるのです。
 今までは内向きの教育でした。今やっていることは違います。外向きです。単に経営者の養成、経営者の予備軍の養成ではありません。先進的な経営者になってもらうために、この学校で時間を費やしている間にその覚悟を決める。その醍醐味を先輩たちから耳にして、俺もやるぞ、困ったときは仲間がいるじゃないか。こういうことです。自分で考える。自ら考えます。学校の中では学校長と呼んでいません。われわれが主役ではない。主役は学生、お客さまは学生です。自分たちはスタッフです。コーチです。猪股さんはヘッドコーチと呼んでいます。
 自分たちだけで教えきれるものではないから、さまざまな方のご協力をいただいています。いただいているのではなくて、いただけるようになりました。それは何よりも学生たちの熱意です。今日の話の中にもありましたが、先生がビックリします。「いろんなところで教えているが、ここの学生は、数は少ないが目の輝きが違う。また来るよ」と、一人の学生の補講のために朝8時から来てくれる先生はいません。しかも謝礼はほとんどなしです。
 われわれの先輩には、自分たちが経験したことの中で大切なことは伝えていきたいという思いがあります。親子だと伝わりにくい。ついつい「そんな甘いものではない。俺の若いころは」と私でも出そうになります。だから「あのバカ」と言ってしまう。同じような星の下に生まれて、そこから逃げ出せない宿命を持った子たちが、せっかくその星の下に生まれたのなら、そうではない人に失礼のないようにしたいじゃないか。自分たちはなんと恵まれているのかということを肌で感じてほしいじゃないか。そのためには今までのことから学びましょう。親の背中を学びましょう。最初は今までの領域を守り、それを破って最後には離陸、テイクオフしていく。それを2年間、自らたたき込んでもらいたい。そんな環境に今はなっています。
 少数だからできる。確かにそのとおりです。マックス25人、1年生15人、2年生10人、これが猪股さんの限界。教室はもっとあります。一時は1学年30人を超えていましたが、猪股さんの情熱、曹さんの情熱、野口さんの情熱、東京でがんばってくれている先生、留守をしてくれている先生、その方たちの情熱の限界です。正直だと思う。普通の学校だったら面白くも何ともない。何よりも、38期の卒業生たちはほぼ全員が現役です。こんな学校がありますか。OBのほとんどがこの産業の中にいて現役。しかも、それぞれ色が違います。個性が違います。そんな人たちが今、教壇に立っています。それも昔のイメージの教壇ではない。フラットな状況の中で自分の失敗談を語り、自分の思いや情熱、さまざまなことを伝えてくれています。
 カリキュラムは毎年変えます。今年と同じカリキュラムで来年もやるなんていうのは講師たちの怠慢です。世の中は動いています。一番主のところ、一番大事なところ、昨年と同じなんてありえない。そんなものを学生たちにぶつける。それでいてコーチたちは学生からいろんな刺激を受けて、僭越な表現ですが、成長してくださる。そんな環境です。
 残り15人、早い者勝ちです。「どうだ」と皆さんにお伝えするので、皆さんもぜひ、なるほど面白そうだと思ったら、とにかく一度来てください。見事に明るくなりました。ぜひおいでください。そして、学生たちの目を見てやってください。そのときに許される時間、1時間でも2時間でも3時間でも、学生たちに語ってやってください。ぜひお願いします。
 この印刷業界に残り、印刷産業を建てなおして、新しい産業界をつくっていく。そのための原動力に必ずなる。必ずしてみせる。そういう思いを講師たちは持っています。学生たちも持ってくれています。ぜひ、皆さんのご理解、ご協力をいただければ大変ありがたい。どうぞよろしくお願いします。(2015年5月30日号掲載)