吉田印刷所・「DTPでよく使用するソフトのバージョン」アンケート結果を公開
2012年01月11日

印刷情報発信サイト「DTPサポート情報ブログ」を運営する吉田印刷所(新潟県五泉市)はこのほど、「DTPでよく使用するソフトのバージョン」のアンケートの結果を公開した。
全体として2011年7月の調査と比べ、Adobe Creative Suite 3(CS3)ユーザーが7%の減少となり、その結果Illustrator・PhotoshopではCS4の利用率が最も高くなるという結果が出た。
CS3ユーザーが減少し、入れ替わるようにCS5系列のユーザーが増加したが、これはAdobeが2011年11月に発表したアップグレードポリシーの変更が影響しているものと考えられる。
【アンケート概要】
▽アンケート期間=2011年12月8日~12月31日
▽アンケート対象=主として「DTPサポート情報ブログ」閲覧者
▽アンケート方法=以下のページに設置したアンケートによる回答(無記名回答)
今回の調査からQuarkXPressは調査対象外とした。
■アンケート結果
アンケートの結果は以下の通り。(5位より下は省略/右側の丸括弧内は2011年7月に行ったアンケートとの比較)
●Illustrator:回答数579
[1位]28.0% Illustrator CS4 (+ 1.8ポイント)
[2位]27.8% Illustrator CS3 (- 6.9ポイント)
[3位]16.9% Illustrator CS5 (+ 2.4ポイント)
[4位]11.7% Illustrator CS5.1(+ 7.1ポイント)
[5位] 6.7% Illustrator CS2 (- 3.0ポイント)
今回の調査ではIllustrator CS4の利用率がトップとなった。
前回、前々回の調査でトップの利用率だったIllustrator CS3は今回の調査で利用率を5%以上も落とす結果となり、2位となった。しかし1位のCS4と2位のCS3の差はわずか0.2ポイントで27.8%の利 用率であり、まだまだCS3の根強い支持があることが伺える。
現在購入できるMacで使用されているMac OS X 10.7 LionではIllustrator CS3のアップデーターが動かないといった問題があり、また、Adobeが2011年11月に発表したアップグレードポリシーの変更によりCS6へのアッ プグレード版をCS3ユーザーが購入できなくなるため、一定のCS3ユーザーが今後も残ることが考えられる。
また、このアップグレードポリシーの変更により、CS6へアップグレードできるバージョンであるCS5系列へのアップグレードを行ったCS3ユーザーもい るためか、CS3がおよそ7ポイントの減少、CS5系列のCS5・CS5.1のユーザーがおよそ10ポイントの大幅な増加となった。
Adobeのアップグレードポリシー変更の発表は、ユーザーがバージョンアップすることへの一定の効果を上げているといえるだろう。
●Photoshop:回答数554
[1位]27.8% Photoshop CS4 (+ 2.6ポイント)
[2位]23.3% Photoshop CS3 (- 7.4ポイント)
[3位]19.9% Photoshop CS5 (+ 0.6ポイント)
[4位]12.5% Photoshop CS5.1(+ 6.1ポイント)
[5位] 7.4% Photoshop CS2 (- 1.3ポイント)
今回の調査ではIllustrator同様にCS4が利用率のトップとなった。
CS4ユーザーが増加し、CS3ユーザーが7ポイント以上の大幅な減少で2位となった。CS5・CS5.1のCS5系列の増加は合わせて約7ポイントと なっており、Adobeのアップグレードポリシー変更の発表に伴うCS3からCS5系列への入れ替えが起きていると見てもよいのではないか。
前回の調査結果でCS5系列を合わせるとトップになるのではないかと書いたが、その通りでCS5系列は合わせて32.4%と5ポイント程度の差をつけCS4の27.8%を抜きトップとなった。
IllustratorでもCS5系列を合わせても28.6%でCS4を抜きトップとなるが、Illustratorの場合はトップのCS4とは0.6ポイントしか差が無く、移行はPhotoshopに比べると遅い。
PhotoshopとIllustratorでは新しいバージョンの移行に温度差が感じられる。
●InDesign:回答数525
[1位]25.7% InDesign CS3 (- 7.1ポイント)
[2位]25.5% InDesign CS4 (- 1.9ポイント)
[3位]16.2% InDesign CS5 (+ 2.8ポイント)
[4位]16.2% 使っていない (+ 3.5ポイント)
[5位] 8.6% InDesign CS5.5(+ 5.2ポイント)
今回の調査では、InDesignはほとんど順位が変わらなかった。
InDesign CS3は利用率こそ減ってはいるが今回の調査でもトップの利用率であり、根強い人気を感じさせる。
InDesignもIllustratorやPhotoshopと同じようにCS3が7ポイントの大幅な減少となり、入れ替わるようにCS5系列が9.1ポイントの増加となり、バージョンアップが一定数は進んでいるようである。
前回は2位のCS4と5.4ポイントの差があったが今回の調査ではわずか0.2ポイントと縮まり、次回の調査ではCS4がトップとなると予想される。
この結果から、IllustratorやPhotoshopのバージョン移行の速度より更に遅い様子がうかがえる。
InDesignではページ数の多い大規模コンテンツを扱う場合が多く、バージョン間の編集や出力の違いが大きな範囲に及び検証に時間が掛かるためと考えられる。今後もこの傾向は変わらないだろう。
InDesignはCS5とCS5.5で主に電子書籍関係で機能や出力品質の違いがある。次期バージョンであるCS6では更に機能や出力品質が向上すると考えられる。
まだ日本の電子書籍はどの方向に向かうのかは不透明な状況ではあるが、InDesign CS5.5ユーザーが今後大幅に増えなければ、InDesignでの電子書籍制作は一部のユーザーだけが行うニッチなものとなる可能性も否定できない。
しかしInDesignの新しいバージョンへの移行速度を考えると、InDesign CS5.5ユーザーや次期バージョンのCS6のユーザーが突然大幅に増えることは考えづらく、制作ワークフローをどう構築するかは現場の動きを注視し考えていかなければならないだろう。
●Acrobat:回答数514
[1位]47.1% Acrobat 9  (- 2.9ポイント)
[2位]17.9% Acrobat 8  (- 6.8ポイント)
[3位]17.7% Acrobat X  (+ 8.5ポイント)
[4位] 7.0% Acrobat 7  (- 1.2ポイント)
[5位] 6.8% 使っていない(+ 1.0ポイント)
順位は1位から5位まで前回の調査と全く同じ結果となった。
圧倒的にAcrobat 9の利用率が高いことは前回の調査と同じである。
しかし、1位のAcrobat 9と2位のAcrobat 8は合わせて9.7ポイント減少し、Acrobat Xが8.5ポイント増加したことを見ると、前回に引き続き、Acrobat 8や9からXへの移行が強まっている様子がうかがえる。
特にAcrobat 8ユーザーが6.8ポイントと大幅に減少したことは、アップグレードポリシーの変更により、CS3ユーザー(Acrobat 8)のアップグレード版購入による影響が出ていることが考えられる。
今後のDTP・製版現場のRIPのスタンダードとなるAPPEはバージョン2.5がリリースされており、このバージョンのRIPとAcrobatの表現を 合わせるためにはAcrobat Xを利用することが望ましいとされる。今後はDTP・製版現場で更にAcrobat Xの利用が進むことは間違い無い。